【入社前の大きな谷】内定者の8割に起こる"内定ブルー"の対処法とその意味


3月の解禁を待たずしてすでに始まっている2019卒採用。

2018年採用は売り手市場の盛況さが目を引きつつも
内定辞退6割」などの問題も浮き彫りとなりました。

内定辞退と並んで問題視されている
内定ブルー」というものをみなさまご存知でしょうか?

せっかく一生懸命頑張って採用を決めたかわいい内定者たちが、
ある日突然陥ってしまう大きな谷。

「内定ブルー」とは内定者が、
『本当にこれでよかったのだろうか』と悩みだすこと。

求人広告を取り扱うアイデムの調査で内定を獲得し就活を終了した学生に、
「入社予定企業を決定した後に、不安や憂鬱な気分(内定ブルー)になったことはあるか」
を聞いたところ、「ある」と回答した学生は81.1%。

就活生全体の8割以上が陥っているのである。
具体的な回答内容は以下の通りだ。


1位「自分は社会人としてやっていけるのか」(59.9%)
2位「同期や社員とうまくやっていけるのか」(49%)
3位「入社予定企業の求める力が本当に自分にあるのか」(38.9%)


実に6割近い学生たちが、
自分の力量や環境順応への不安を強く持っていることが見て取れる。

また、5位からは自分よりも内定先に対する不安だ。


5位「もっと他によい企業があったのではないか」(33.4%)
6位「入社予定の企業に対する家族や周囲の評価・評判が悪かった」(10.6%)
7位「志望企業ではなかったので、入社したくない」(2.4%)


いくら売り手市場といっても、
すべての人がゆとりをもって就職先を選べたはずもない。

売り手市場だからこそ内定後に
「早く決めて失敗だったかも」と考える時間もたっぷりある。

すでに2019年採用を始めている企業の人事担当者は
この「内定ブルー」のフォローも考えなければならない。


とは言いつつも一体どう解消していけばいいのか?

 


■「内定ブルー」解消に"話し合い"は無意味


上記のデータのように就活生から声を集めることはできるが、
「内定ブルー」とは【具体的な迷い】があるわけではない。

学生の心の中に湧き上がってくる漠然とした不安なのだ。

したがって、「内定ブルー」の学生の訴える疑念や不安をそのまま鵜呑みにして、
事実や論理で説得しようとすると逆効果になる可能性もある。

「内定ブルー」を解消するためには
人事担当者が議論をすることはあまり意味をなさないのだ。

そのために今回お伝えする方法は
他の内定者との「つながり」の構築である。

根拠のない"マイナス思考"を塗りつぶせるだけの
「安全地帯」となる環境をつくることが効果的なのです。

人は人との「つながり」や「ふれあい」において、最も安心を感じるもの。

不安を振り切って同じ会社を選んだ「同志」である他の内定者との強い絆が生まれれば、
それは学生の中に生じた「内定ブルー」に対抗する力となるはずだ。

しかし、内定者の「つながり」をつくるといっても、

何の戦略もなく、
とりあえず集めて、
楽しめるような、

イベントをすればよいというものではありません。
ここには3つのポイントがあります。


■「内定ブルー」に対処するための3つのポイント



Step.1 :似た者同士のマッチング

「内定ブルー」の人は、隙あらば自分の不安の原因捜しをします。
そのためいきなり全員を集めては人間関係に不安を感じかねません。

まずは少人数ずつ小分けにして集めます。
その際のポイントは「似た者同士」で集めることです。

最近流行りの「多様性」「ダイバシティ」は、
組織開発の観点からはとても大切なことですが、
裏を返せば「価値観の異なる人が近くにいる」ともいえます。

まずは、「似た者同士」で仲良くなってもらい、
各自が「つながり」の「起点」をつくれるようにします。

自分と似た人が同じ内定者の中にいると思えば安心感が高まります。

この似た者同士のマッチングの際、
小規模の企業であれば内定者ではなく若手社員をアサインしても良いかもしれません。


Step.2 :志望動機の共有

「似た者同士」の会を開催した際には、
必ず【志望動機の共有】をして下さい。

このときのコンテンツ自体は
飲み会でもグループワークでも大丈夫です。

人は自分と似ていて親近感を感じている人の意見をとても尊重します。

「あの人はああいう理由でこの会社を選んだのか」
と別の人の考えを吸収することで自分の志望動機に加えて
新しい入社理由が補強されます。

「内定ブルー」は入社に対する不安です。
そのためこういった志望動機の共有をすることで、
感じていた不安を新しい動機で『上書き』することが目的です。

内定前の気持ちを思い出してもらいましょう。


Step.3 :繋がり(インフォーマルネットワーク)の構築

似た者同士の小規模な安全地帯を構築したら、
次は内定者全体を集めて関係性を築いていきます。

しかし、この際のポイントとしては、
自由にグループができるのを防いで事前にグルーピングをすること。

グルーピングのポイントは2つ。
自社の「ファン」である学生と繋がりの「ハブ」となる学生の使い方。

「ファン」とは自社への志望度が高かった学生のこと。
「ハブ」とはグループの垣根を超えて人との繋がりを作れる・持っている学生のこと。

この2人を各グループに入れることが重要になります。
そうすることで「ファン」によってグループの入社へのテンションが保たれ、
「ハブ」によって各グループで独立せずにネットワークが生まれます。

この「ハブ」には人事担当者や採用に関わっていた若手社員を
アサインすることも効果的です。

■いちばん重要なのは「定期的に」接点を設けること


「とにかく内定出し当初が肝心だ!」
と様々なイベントを前倒しで行っている企業もあるかと思いますが、
「内定ブルー」は、誰に、いつ生じるか分かりません。

そのため内定者たちに定期的に会えるように
年間のスケジュールをきちんと決めることをオススメします。

「最初が肝心」は一理あるのですが、やりすぎてしまうと、「方法」が無くなります。


内定者に接触する方法は、内定式だけではありません。

・来期の採用への協力依頼
・配属に関する説明会や面談
・入社手続きや入社書類の提出
・内定者アルバイト
・入社前のビジネスマナー研修
・社員総会や忘年会など社内のイベント

などなど探せば結構見つかるものです。

就職は人生の大きな分岐点。
だれだって不安になります。
ましてやそれは社会人経験のない学生です。

この不安は早期発見・早期解消が重要となります。

できるだけ接点を多く作り、
いつでも相談してもらえる関係構築が大事になります。

すでに内定を出している企業もあるかと思います。
いつでも対応できるようにいまから準備をしてみて下さい。

未来を作るネクストリーダーのためのキャリアサイト:パッションナビ


公開日:2018年1月29日